神話

ギリシャ神話 月桂樹

月桂樹

美しい水の精ダプネ。彼女は野山を駆け回り、狩りをするのが好きであった。ある日の事、愛の精エロスが一本の金の矢をアポロンに放った。愛の矢がささったアポロンはふと目を止めた先にいた精霊ダプネに一目惚れをしてしまった。しかしエロスはもう一本の矢を放っており、その鉛の矢はダプネの方に刺さったのである。金の矢は愛の矢であり、鉛の矢は愛を拒む矢なのであった。ダプネに恋をしたアポロンはたまらずダプネを追いかけるのだが、ダプネはそれを拒み、更に早く走り、追いつけない。

二人はそれぞれ必死で走り、アポロンがまさに追いつこうとするその時、ダプネは父神に助けを求めたのである。父神ペネイオスはダプネを一本の木に変えた。この木が月桂樹である。アポロンは今まさに手に届こうとしていたダプネが木に変わってしまったので、ひどく悲しんだ。この切ない片思いの相手、月桂樹の枝で冠を作り、いつも身に付けたのである。

そしてこの月桂樹の冠はいつしかアポロンのシンボルとなっていった。古代ギリシアでは優勝者の名誉の証となった。

エロスの金の矢は魅惑的であり、一方的であり、切なくて恐ろしいですね…エロスはなぜ矢を放ったのかというと、アポロンがエロスをからかったからなのですね・・エロスも精霊ですから、からかっちゃいけません・・・